ワクチン関連

ワクチン接種は何のために?

  • ① かかった際に命に関わる病気もしくは重症化する病気
  • ② 後遺症が残ってしまう病気
  • ③ 人などに移ってしまう病気(ズーノーシス)

上記①~③の予防や仮にかかった場合でも軽症化させる目的で行なわれます。
このような個人の免疫を上昇させる目的と地域全体が予防することで、そのような病気が地域に蔓延しないようにする、集団免疫の目的で行なわれます(例、狂犬病予防接種)。

ワクチンって何をうてば良い?

犬の場合

狂犬病ワクチンと混合ワクチン(日本では多種混合ワクチンが主流です)があります。
狂犬病ワクチンは「狂犬病予防法」という法律で、毎年1回狂犬病ワクチンを接種することや各自治体に犬の登録をすること等が飼主の義務とされています。心不全や腎不全などの持病の悪化や毎年狂犬病ワクチン接種後に具合が悪くなるわんちゃんは接種を猶予することが出来ますので、遠慮なくお申し出ください。
混合ワクチンは、狂犬病とは違い任意ですが、わんちゃんにとって命に関わる病気を予防するためのワクチンです。混合ワクチンには生ワクチンが含まれているため、接種後1ヶ月は他のワクチン接種は薦められません。当院では5種と7種(レプトスピラ症のワクチンを含む)のワクチンをご用意しております。レプトスピラ症は、人畜共通伝染病の一つで色々な型が存在し、主として黄疸などの症状を引き起こします。当院の地域では発症は報告されておりませんが、河川や他の地方のわんちゃんなどが一緒になるようなドッグランに行くわんちゃんはレプトスピラ症のワクチン(7種)を接種した方が良いと思います。
健康であれば、抗体価が下がらないように定期的な混合ワクチンの接種をおすすめしております。7種混合ワクチン(レプトスピラ)に関しては、抗体が持続しにくいため毎年の接種が望ましいです。毎年の血液検査(フィラリア検査や健康診断など)を行なう際にワクチンの抗体検査を一緒に行い、抗体価が高ければ接種間隔を延長することも出来ます。

猫の場合

当院では混合ワクチン:3種と4種(3種+白血病ウイルスワクチン)をご用意しております。共にアジュバント(皮膚の腫瘍の発生に関与するといわれる成分)を使用していないワクチンになります。外に出てしまう猫さんの場合や同居の猫さんが白血病にかかっている場合は4種のワクチンをお勧めします。

健康であれば、抗体価が下がらないように、定期的な混合ワクチン接種をお勧めしております。犬と同様に抗体検査を行って接種間隔をあける事もできますので、ご相談ください。また、猫さんの場合は採血を嫌がる傾向がありますので、健康診断の際に同時に行うと良いと思います。

ワクチンアレルギーとは?

ワクチンアレルギーとは、ワクチンを接種した後、数分から数時間後に何らかの異常を来すことをいいます。ワクチン接種直後に現れるものを特に「ワクチンアナフィラキシー」と呼ぶことがあります。アナフィラキシーの中には、注射後すぐに力が抜けて虚脱したり、舌色が紫色になるチアノーゼ、呼吸停止やショック死などの報告もあります。そのため、アナフィラキシーが起こらないか?毎回接種後は最低でも10分は病院内もしくは近くで待機して様子を観察してください。
ワクチンアレルギーでも比較的軽いものでは、少し元気がなくなる程度ですが、接種後数時間後に顔面全体があれて痒がる症状(ムーンフェイス)を起こす場合もあります。そのような場合は、なるだけ早めに病院に連絡してご来院ください。
一度強いワクチンのアレルギー反応を起こしたことのある場合は、その後のワクチン接種で今以上の反応が起きる可能性がありますので、次回以降はワクチン接種を控えて、ある程度のタイミングで抗体検査を行なって頂いた方が良いと思います。また、ワクチンアレルギーが起こった時のことを考えて、できるだけ午前中にワクチン接種をしましょう。

避妊・去勢手術・健康診断について

時期はいつがいいのか

当院ではなるべく生後半年以上で雌の場合は初回発情の直前もしくはその後に避妊手術を行なっております。去勢や避妊手術の時期については様々な報告がありますが、元来、乳腺腫瘍の発生を抑制するために手術時期を早める傾向にありましたが、手術時期を早める事で他の疾患になりやすかったり、犬種によって手術の適期があるとの報告も出てきております。その子にあった手術時期をご相談させてください。当院では、わんちゃんの手術時期に関してはおおよそ永久歯がはえかわった後から1才くらいまでに行うことが多いと思います。
わんちゃんの場合は発情が始まってしまった場合は、子宮などが腫れるので、1ヶ月以上待ってから手術を行なっております。また、メス猫さんの場合は、発情行動が激しい場合もありますので発情中でも手術は行ないます。オス猫さんの場合は排尿行動(スプレー)が出てくる場合は、早めに手術を行うこともあります。もちろん、オスとメスが一緒に居る場合は、初回の発情前にどちらかを早めに手術することをお勧めしております。

手術の流れ

避妊・去勢手術をご希望の場合、一度発育状態や全身の状態をチェックするために、来院して頂きます。手術は全身麻酔で行なうため、事前に手術日を予約し、手術前日の夜から絶食(朝食抜き)で当日は午前中の早い時間帯に来院して頂きます。
手術前検査では、簡易的な血液検査、レントゲン検査などの術前検査を行ないます。
去勢手術は日帰りで手術が可能で、夕方5時以降のお迎えになります。
避妊手術は、原則的には一泊二日になりますが、入院室で興奮する動物の場合は日帰りになることもあります。手術後は7~10日で抜糸を行ないます(猫の去勢手術では抜糸は必要ありません)。

健康診断は何をどのタイミングですればいいの?

当院で行える検査は、血液検査、尿検査、便検査、腹部超音波検査、胸部超音波検査、レントゲン検査などになります。
既往歴のない5才未満のわんちゃん、猫さんは、1年に一回程度の検査で良いかと思います。検査内容は、血液検査がメインになります。血液検査結果や一般状態で気になる点がある場合は、レントゲン検査や超音波検査、尿検査などを追加で行う場合もあります。
10才以上の高齢の動物の場合は、半年に1回の検査をお勧めいたします。特に体重の変化がないか?が重要になります。ホルモン検査を含む血液検査以外に、レントゲン検査・超音波検査を定期的に行う事をお勧めいたします。主に腫瘍の早期発見やホルモンバランスの異常がないかをチェックする事が目的です。

来院について

動物を飼い始めた時のご来院について

来院時期ですが、体調が悪くなければ環境が変わったばかりで、動物もストレスがかかっておりますので、一週間ほどはなるべくご自宅で過ごすようにしてください。一週間の間に環境のストレスで抵抗力が落ちると、潜伏期であった病気が発症することがありますので、その場合は早めに御来院ください。犬の場合は主に咳などの症状が発症する伝染性気管気管支炎(ケンネルコフ)、猫の場合は結膜炎、くしゃみなどの症状が発症するウイルス性鼻気管炎などが多く認められます。そのような症状が出た場合は、先住の動物が居る場合はできるだけ隔離して病気をうつさないようにしてあげて早めに病院に御連絡ください。
来院の際は、すでにワクチン接種が終わっている場合にはワクチン証明書をご持参ください。また、母親などから消化管の寄生虫をもらっている可能性もありますので、新しい便(下痢している場合は下痢の便)を少量持ってきてください。
また、ペットショップで処置して頂いた内容(検便や駆虫薬などの内容)がわかる書類がありましたら一緒にご持参ください。

フィラリアについて

フィラリア予防、検査は必要?

犬のフィラリア症は、蚊によって媒介され最終的に犬の心臓に住み着く寄生虫の病気です。埼玉県では4月下旬おそくとも5月中旬から11月下旬もしくは12月中旬ごろまで予防する方が良いとされております。
当院では基本的には、月1回の投薬治療による予防を推進しております。毎年しっかり予防されている場合は、フィラリアに感染していることはほとんどありません。しかし、投薬治療をしている場合は、知らないうちに吐いて出していたり、下痢で吸収が悪くなっていたりすることも考えられますので、一年中投薬予防や注射治療をされている方以外はフィラリアの抗原検査(血液検査)をお勧めしております。
もし、フィラリアの成虫が心臓に寄生している時に、フィラリア予防薬(駆虫薬)を投薬すると、成虫の死体が肺動脈に詰まって喀血や呼吸不全に陥る可能性がありますので、ご注意ください。

猫のフィラリア予防は、室内だから大丈夫?

最近では、関東の室内猫さんにもフィラリアに感染している報告が多数報告されていますし、当院の患者さんでも、室内で飼っていた猫さんでフィラリアに感染していました。外に遊びに行く猫さんは特に蚊に刺されやすいので、よりしっかりと予防されることをお勧めします。猫さんの場合は、首につける液体のスポット剤を月に1回つけて頂きます。1本でフィラリア予防とノミ予防と腸の寄生虫の感染を予防することができます。
猫さんの場合は、血液検査でフィラリアを検出することが難しいので、検査をしなくても予防をすることができます。猫さんにフィラリアに感染した場合は、重篤な呼吸器症状や循環器の症状がでますので、予防をお勧めいたします。

エキゾチック動物の診療について

エキゾチック動物の診察はしていますか?

当院でのエキゾチック動物の診察は、主としてウサギ、ハムスター、モルモットなどを診察しております。他の齧歯類に関しては診察を行える場合もございますので、お電話でお問い合わせください。
一般的な診療や歯科処置等は行えますが、エキゾチックを専門として診察をしておりませんので、特殊な外科手術や詳細な検査は出来ません。当院で診断が難しい場合や治療を行えない場合は、エキゾチック専門病院を受診されることをお勧めいたします。申し訳ありませんが、モモンガ、ハリネズミ、カメなどのは虫類、鳥類の診察はしておりません。

往診について

往診はやっていますか?

当院では、お昼の時間帯に往診も行なっております。飼主様のご都合で来院できない場合や車での移動が動物に負担になるような状態の時などはご相談ください。診察にお伺いした際には、動物を診ることが出来る状態で待機して頂きますようお願いしております。
往診では、採血は出来ますが、その場でレントゲン検査やエコー検査などの詳細な検査は出来ないため、診断が難しい場合がございます。注射や耳処置などの簡単な処置や内服の処方が主な治療になります。往診を希望する場合は、事前にお電話でご相談ください。

心雑音について

心雑音があるといわれましたが・・・

犬の場合

心雑音には色々な種類がありますが、わんちゃんの場合は、先天性の心雑音を除くと、ほとんどが僧帽弁の形が変性することによって生じる僧帽弁閉鎖不全によるものです。僧帽弁は二つの弁で出来ていて、それぞれの弁がしっかりと閉まる時に弁の間に隙間があると、そこから血液が左心室から左心房というお部屋に戻ってしまいます。その血液が逆流するときに生じる音が心雑音として聞こえます。心雑音の大きさだけで病態の評価は出来ませんが、基本的には病態が進行する程心雑音は徐々に大きくなるとされています。6段階の評価を行なっております。ある程度進行した心雑音がある場合や、心不全の症状(咳や疲れやすくなった等)が発症した際には、レントゲンやエコーなどで心臓の精密検査を行ないます。
治療が必要な場合は、基本的には病態が進行しないように心臓薬を開始します。根治を目指す場合は、循環器の専門医へご紹介し外科手術(弁形成術)を行なって頂く場合もございます。

猫の場合

犬と比較しますと心雑音はあまり聴取されませんが、病気ではない生理的雑音と病気が関係した雑音があります。病気が関係した雑音は、主に肥大型心筋症や大動脈狭窄症、甲状腺機能亢進症による二次的な雑音が聴取される場合があります。詳細な評価は、心臓のエコー検査やホルモン検査などの精密検査が必要になります。治療は、投薬による治療になります。

しこり・腫瘍について

皮膚のしこりが見つかった場合

トリミングに言ったらしこりがあると言われました~・・・、昨日しこりを見つけました~・・・というような感じで来院されるケースが多いような気がいたします。
来院されるほとんどは、乳頭腫、皮脂腺腫、脂肪腫、組織球腫といった良性の腫瘍です。見た目と触診だけで判断できる場合も多いですが、中には見た目だけで判断できない肥満細胞腫という悪性の腫瘍もあるので、診断をしっかりする場合は、細い針を刺して細胞を調べる針生検を行ない診断を行います。触っていたくないから大丈夫ですよね・・・というように思っている飼主様が多いですが、皮膚に出来る腫瘍で良性でも悪性でも基本的には触っても痛くありません。細菌の感染などで炎症を起こしている場合には痛い場合がありますが、良いか悪いかの判断にはなりません。
しこりが腫瘍の場合には、揉んだりしてはいけません。注射の後に炎症で生じたしこりの場合は揉んでも構いませんが、猫ではワクチン後に肉腫が生じる事がありますので、基本的にはしこりを揉むことはお勧めいたしません。細胞に刺激を与えてしまい、腫瘍が大きくなったり炎症を起こしたりする可能性が高まってしまいます。

しこりを発見した時は焦らず、

  • ① いつから出来たのか?
  • ② 発見したときの大きさがどのくらいだったのか?
  • ③ どのくらいの時間でどのくらい大きくなっているのか?
  • ④ 赤くなったり、大きさが日によって違ったりしていないか?

をチェックして数日中にご来院ください。

乳腺腫瘍はすべて悪性ですか?

犬の場合

若い頃に避妊手術をしていない中齢以上のメス犬によく認められます。最近では、小型犬の場合は7割以上が良性で多発性(いっぱい出来る)であると言われております。中型犬~大型犬の場合は、半分が良性、半分が悪性と考えた方が良いと思います。良性の場合は、ゆっくりと大きくなり色々な部位に多発する傾向があります。逆に数ヶ月で一気に大きくなるタイプは悪性である可能性がありますので、なるだけ早くご来院ください。
乳腺に出来る腫瘍でも、乳腺腫瘍でない可能性(他の腫瘍や乳腺炎など)もあるため、針生検を行える大きさであれば行ないます。針生検では、乳腺腫瘍の良性、悪性の評価は通常難しく、摘出後の病理検査で判定します。また、胸のレントゲン撮影を行なって肺への転移所見がないかをチェックします。
手術を行なう場合は、部分的にしこりだけ摘出する場合と乳腺全体を摘出する場合もございます。それぞれ利点や不利点がございますので、来院時にご相談させてください。
また、発情が起こると、乳腺自体が腫れてしこりが出来たように見えることもありますので、発情後にもう一度大きさを確認する必要があります。

猫の場合

1才未満で避妊手術をしていないメス猫さんで発生します。猫さんの乳腺腫瘍は8~9割悪性とされていることから、明らかに乳腺腫瘍を疑う場合は、最所からリンパ腺を含めた乳腺の全摘出手術が勧められます。当院では、2回に渡って手術を行ない手術後の猫さんへの負担を少なくするようにしております。また、術後に抗癌剤を使用することもあります。
猫さんでは、乳がんの発生を予防するために、1才未満での避妊手術をお勧めしております。